横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

鶴見曹達株式会社様 高度制御の事例

電解プラントでの電力使用量大幅削減に貢献

鶴見曹達株式会社様 本社工場
鶴見曹達株式会社様 本社工場

お客様の紹介

鶴見曹達株式会社様(以下鶴見曹達様と省略)は横浜市鶴見区にある1934年創業のソーダ工業専業化学会社です。苛性ソーダ、塩素、塩酸などを製造し、これらの製品を主に首都圏の各種工場に供給しています。

Exasmoc 導入プラント

Exasmoc はShell Global Solutionsと横河電機が開発した多変数予測制御パッケージで、全世界の石油や石油化学プラントで広く使われ、プラントの安定化と生産性向上に大きく貢献しています。
Exasmoc は鶴見曹達本社工場の電解ソーダプラントに導入され、電解槽の省エネルギー運転に大きく寄与しています。 電解プラントは図1に示すように、塩化ナトリウム水溶液(以下塩水と省略)を電気分解して苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水素ガス、塩素ガスを生産しています。 本電解プラントは複数の電解槽より構成され、定電流装置に対して直列に接続されています。

電解プラントのプロセスフロー
図1 電解プラントのプロセスフロー

Exasmoc による高度制御の必要性

電解プラントは大量の電力を消費するために電力削減が重要な課題となります。鶴見曹達様の電解プラントでは安価な夜間電力をできるだけ多く利用するために昼夜で電解電流を大きく変化させますが、これにともない発生するジュール熱が大きく変化するので電解槽温度は大きく変化します。

この時、イオン交換膜の劣化を防止するために電解槽温度を電解電流に対して定められる管理上下限温度内に保つ必要があります。

また、夜間の電解電流一定時は電解槽の温度を管理上限値にできるだけ近づけて電解槽の電気抵抗を小さくすることによる電力使用量の削減が要求されます。電解槽の温度制御では、プロセスの無駄時間が20分程度、時定数が40分程度もあり、さらに循環苛性温度と供給塩水温度の2つだけを操作して複数の電解槽温度を管理上下限値内に制御することになります。

このような厳しい要求を満足させるためにExasmoc のような高度制御が必要となります。

 

電解プラントでの電力使用量大幅削減に貢献

Exasmoc による電解槽温度制御

図2はExasmoc による電解槽温度の制御例です。朝、午後、夜の3回の電流変化時において電解槽温度が上下限値内に保たれています。
昼間と夜間の電流は各種製品の生産計画によって決定されます。

真夏の電力需要のひっ迫時には電力会社からの要請により、電流を一時的に下げることもあります。これら全ての状況においてExasmoc は良好に対応できています。

図2 Exasmoc による電解槽温度制御例

Exasmoc による電解槽温度安定化&最適化制御

電解槽温度は槽によって異なるので、元々温度の低い槽の温度を高くすると元々温度の高い槽は上限温度を超えてしまう恐れがあります。Exasmoc 導入前は代表となる電解槽温度を制御するしかなく個々の電解槽温度は管理できなかったので、上限値に対して余裕を持った目標温度を設定せざるを得ませんでした。Exasmoc を使うことで全ての電解槽温度を同時に制御することが可能となり、目標温度を上限値ぎりぎりに設定しつつ個々の電解槽温度が上下限値を超えないような制御が実現できるようになりました。これにより電力使用量の大幅な削減が実現できています。

図3は夜間の同一電流時の各電解槽温度の平均値をExasmoc導入前後で比較したものです。Exasmoc 導入後は各電解槽温度が数℃高くなっており、各電解槽の電気抵抗が小さくなって電力使用量が減少していることを示しています。

図3 夜間の電解槽平均温度

一方、図4は夜間の同一電流時の各電解槽温度の標準偏差をExasmoc 導入前後で比較したものです。Exasmoc 導入後は各電解槽温度の標準偏差が半分以下となっており、電解槽温度がより早く一定温度に到達して安定していることを示しています。

図4 夜間の電解槽温度標準偏差

Exasmoc 導入による大幅な電力使用量削減

Exasmoc 導入により電解槽温度を上限値ぎりぎりまで高くすることが可能となりました。

これにより電解槽の電力損失が小さくなり、電力使用量の大幅な削減効果が得られています。

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